観るものと、生活の日記

「裏日本~大きな波に乗るがいい!~」



猫のホテル「裏日本~大きな波に乗るがいい!~」
★★


2003年11月2日@下北沢ザ・スズナリ
(東京公演のみ:2003年10月14日~11月3日)

作・演出:千葉雅子
出演:中村まこと 森田ガンツ 市川しんぺー 佐藤真弓 池田鉄洋
いけだしん 村上航 岩本靖輝 菅原永二 千葉雅子




(あら筋)

糸井重里のモノマネ芸人馬路みつお(市川しんぺー)は、
矢沢永吉のモノマネ芸人(中村まこと)に
「永ちゃんの親戚っていうから(←フィクション)雇ってやったのに全然似てない」
とクビにされる。傷心のままとある日本海側の小さな町へ辿り着いた馬路。
そして8年が過ぎた。
波子健四郎(中村まこと・2役)が経営する「焼肉屋兼民宿」には、
日々怪しげな常連客が集まっていた。彼らはそれぞれ事情を抱えた流れ者。
みつおも混ざっていた。そこへ東京から旅行者の高田じゅん(岩本靖輝)がやってくる。
職業がフリーライターだときいた常連客たちは、なぜか色めきだった。
書いてもらいたいことがあるらしい。
みつおは町へ来るまでに、たけしという高校生(菅原永二)を拾い、町では
アイコという女性(佐藤真弓)と結婚し、3人家族になっていた。しかし
アイコはみつおに愛想をつかし、たけしとできていた。それを知ったみつおは
入水を図るが、助けられる。
スナックを経営する湯里ミナヨ(千葉雅子)はなぜか町の男達に何かと服を配っていた。
アイコはたけしではなく、流れ者仲間の1人羽根京太郎(村上航)と駆け落ち。
「自分達だけ逃げるなんてそうはいかない」と止める他の仲間。
しかしみつおは二人を許し、その証拠として三人でミュージカル調に歌い踊ってみせる。
一方ミナヨの正体と凶悪な過去に驚く町の男達。語り終えて息絶えるミナヨに
植えられたばかりの桜吹雪が舞い散るのだった。


(感想)

下北沢まで行っちゃいました。
きいていたとうり小劇場がいくつもあり
街自体にも縁日の夜店感漂って、面白い感じのところでした。
ザ・スズナリは不思議な古い建物の2階にあり、今回は指定席だったんで
つめこまれなくてすみました。

最初の「携帯電話切りましょう」の寸劇は、分かりませんでした。
後で知ってやっと「なるほど」と納得。場内すごく受けてたから、
分かってなかったの私らだけだったかも(汗)
 後から思えば「起きてる者はいないのか!」でも最初千葉さんと市川さんが
電話をはさんで、本編との関係いまいち薄いことをしてたんですが、
あれも「携帯電源切って」寸劇だったんでしょうか。
もしそうだとしても、あれは9割方のお客さん気付いてなかったんでは・・・。

肝心の本編。まず舞台セットに感心しました。狭いところに2階を作り、
小型トラックの前半分を持ち込み、ずいぶん上手いことできてました。
ラストの花吹雪、立体的な演出が見事。

直後の感想としては
「最後の方は笑えたけど、途中まで何だか暗~い!」でした。
TVで見た「ビルの中味」という公演とも、よく似てました。
「ビルの中味」は作・演出千葉さん、猫ホテメンバー総出演なのですが
プロデュース公演で雰囲気が違い、笑えるところは少なくどうしょーもなく
暗く感じたんです。
やはりTVで見た「愛してる、いやいわんでいい」といい
千葉さん田舎町に対して独自のイメージもってるのかもしれない。
猫ホテは紹介文でよく「バカ哀しい世界を描く」と書かれてますが、その
「バカ」な部分が少なくなると、ホントやりきれなく哀しいので、
もっとバカバカしい方が、私はすきです。

事前に千葉さんは、 「大物アーティストの自伝に書かれた嘘で、翻弄される親戚の話。
モデルは矢沢永吉。」と説明していたのですが、変更されたようです。
なぜ糸井重里が出てくるのかというと
「矢沢永吉の自伝"なりあがり"のゴーストライターだから」らしいのですが
必要な説明すら省略されて話が進んでいくところは大すきです。

猫ホテは、普段は男中心の話ばかりらしいですが「愛してる~」で
ファンとなったものとしては、今後も女性主役を混ぜてほしいです。
書籍「シリーズ演劇からはじめました 千葉雅子」でも他の役者さんに
「自分が主役の話かけばいい」と言われながら「演出家がやっていいことと
そうじゃないことがある」などと答えてましたね。いやー千葉さんが何より
魅力があって面白そうなのに、もったいないです。

劇団最年長とはいえ、同性から見たら千葉さん若くてキレイなので
やたら中年をアピールする役も違和感あるんですよね。

「マイナーメディアだからって、ちょっとどうなんだ」と思わせる
とこもありましたし。「笑っていいことかどうか」と悩んでしまうものは
苦手なんです。すぱっと笑いたいし。無関係な一般人、特に被害者を
ネタにするようなものは問題あるな、と思いました。すっきりしません。
それについて後で雑誌で書かれてたことも、ちょっとひどいものでした。

全般に笑えるとこ少なかったから・・・
前回で「まあ面白かったけどちょっと期待外れ。次に期待。」
今回「前回以上に期待外れ」となったので
これではもう1回観てダメなら・・・今後猫ホテ観劇は考えてしまうかも。

ホントに笑えたのは、ラスト。これまでより明るく華やか?で、急に
ミュージカル風になりバカバカしさが強調されるシーンがあり、そこは
かなり笑えました。特に中村まことさんのアドリブっぽいセリフ今思い出しでも
笑えます^^「愛してる~」は全体にこういう感じだったから
すきだったんですよね。

ところで「裏日本」は昔「日本海側」を指す蔑称だったようですが
千葉さんは「今は違う意味にとらえられているようだ」とのこと。
人の名字に山陰地方の地名が使われています。



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